定義

足の親指が小指の方向に変形し、その角度が「15度以上」に達している状態を指します。
この変形は、見た目だけでなく、歩行の安定性にも大きな影響を与えることがあります。
外反母趾の進行と影響
変形が「30度以上」に進行すると、親指の問題だけでなく、くび、肩、腰、膝など全身の関節や筋肉に悪影響を及ぼし、日常生活にも支障をきたすことが増えます。
※外反母趾の有無や痛みの有無に関わらず、足の構造に変形が生じて土台が不安定になると、体全体のバランスが崩れ、さまざまな不調の原因となることがあります。
種類

靭帯性外反母趾
足の中足部を支える横中足靭帯(中足関節)が伸びたり緩んだりすることで、足の親指が小指側に大きく曲がった状態、いわゆる「開張足状態」を伴う外反母趾です。
これは、横アーチが崩れることで起こり、足の安定性を著しく低下させます。
仮骨性外反母趾
親指自体はそれほど大きく曲がっていないものの、親指の付け根の骨が異常に成長して突出し、見た目には親指が曲がっているように見える状態を指します。
この症状は歩行中に親指が浮くことによって、付け根部分に過剰な負担がかかるために生じます。
混合性外反母趾(最も多いタイプ)
靭帯性と仮骨性の両方の特徴を持つタイプで、最も一般的な外反母趾です。特に中高年の女性に多く見られ、加齢とともに靭帯性から仮骨性、またはその逆に進行し、両方の症状が混在することがあります。
この状態では、親指の付け根と靴との摩擦により、「バニオン」という粘液嚢が形成されることもあります。
病変性外反母趾
へバーデン結節やリウマチなどの疾患によって引き起こされるもので、通常よりも重度の変形や脱臼を伴います。
このタイプの外反母趾は、特に重度のケースが多く、しばしば病変による二次的な影響が原因です。
ハンマートゥ性外反母趾
足の親指が外側(小指側)に曲がる外反母趾の症状と、足の他の指、特に第2〜第4指が槌(つち)状に曲がる「ハンマートゥ」という状態が同時に発生している場合を指します。この複合症状は、足の構造や歩行のバランスを大きく崩し、さまざまな足の問題を引き起こす原因となります。
原因

一次的な原因
子供の頃に足裏への適切な刺激が不足したことで、足底反射が正常に機能しなくなる「足底反射障害」が主な原因と考えられています。
これにより、足の筋肉や靭帯の発達が不十分になり、外反母趾のリスクが高まります。
二次的な悪化要因
足指の筋力や機能が低下した状態で、ハイヒールやパンプスなどの先が細く不安定な靴を履き続けると、足の変形がさらに進行し、外反母趾が悪化する原因になります。
解決法
外反母趾の改善には、「整足テーピング」が効果的です。この方法は、足指や中足部をサポートし、自然な形に戻すための「補整」を目的としています。
テーピングは強く引っ張ったり、強く締め付けたりする「固定」や「矯正」ではなく、あくまで柔らかく足の自然な形を保つよう設計されています。
整足テーピングを継続的に行うことで、1〜2ヶ月で足の痛みが軽減され、さらに6ヶ月続けると機能的な改善が見込まれます。
この方法の良い点は、施術中も足指が自然に使える状態を保てることで、日常生活の中で意識せずに足の機能を回復させることができることです。